日曜のいちばん風呂とハリー・ディ−ン・スタントン

 ハリー.jpg

 

 日曜の4時過ぎの川澄湯は混みあっている。

 ほとんど70歳以上(推定)のおじさまたちが

 入念に身体を洗い、ひげを剃り、

 熱い湯船に浸かり、泡風呂に入り、

 あるものはサウナに入り、冷水に入り、

 子供の頃から自分はいまだにおっかなくて

 太ももまでしか入れない電気風呂に

 躊躇なく肩までどっぷり浸かる。

 ただし洗う髪は少なめ。

 そこには人生の年輪とともに

 長年積み上げてきた作法ともいうべき各々の

 ルーティンの一部を垣間見ることができる。

 うっかり昨日みたいな天気のいい日の明るいうちから

 銭湯に行ってしまうと常連にして熟練の猛者から

「なんだこの若造」という心の声が聞こえてきそうな

 妙なプレッシャーを感じてしまうのだった。

 

 そんな老人の渦から脱出してさっぱりとした気分で

 地下鉄に乗って買い出しに出た昨晩は、

 これまた昨年亡くなり、

 これが遺作となった偉大なバイプレイヤー、

 ハリー・ディ−ン・スタントン90歳の

 ”老人”主演映画『ラッキー』を観賞。

 正直退屈な映画かなとあまり期待していなかったのだが、

 冒頭から生物としての彼の身体、それから表情に釘づけ。

 

『パリ、テキサス』を始め、彼の仕事の一端は

 エンドロールで流れるすてきな曲の歌詞を見てもわかるが、

 自分にとっては『エイリアン』のブレット。

 だから、ダラス船長:トム・スケリットとの今回の絡みの

 シーンはそれだけでかなり満足だったのだが、

 さらにその後思ってもなかったシーンがあって感涙。

 スクリーンを出るとき花粉症のふりをしてしまったよ。

 あまり情報を入れずにとりわけ竹中直人の

 推薦寸評を読んでなくて本当によかった。

 

 今回俳優として出演もしてる

 デビッド・リンチの映画では

『ストレイト・ストーリー』が大好きだが、

 最後だけ出てきて佇まいだけでもってく主人公の老人

 (リチャード・ファーンズワース)のお兄ちゃん役の

 存在感はやっぱり大きかったよなあ。

 若者には『アベンジャーズ』で

 落下したハルク(マーク・ラファロ)のシーンに

 カメオ出演しているおじいちゃんがこの人だ。

 

 ※ 音楽についてはあえて触れないけれど、とてもいい。

   写真は4年前のドキュメンタリーのサントラCD。

 

 

 とにかく生きよう。

 そう思えた。

 

 

 

 

 

 

 

notes
<< NEW | TOP | OLD>>