なんて豊かな引退作

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 ふだん世間とは関係なく生きている

 つもりではいるのだけど、

 なんとなく入ってくるニュースや情報から、

 ほんとうに慌ただしい1週間だった気がする。

 中日が10年ぶりの8連勝なんかしちゃうのも

 千秋楽までもつれた大相撲名古屋場所

 の優勝の行方もその一因ではあるのだけど、

 大勢の人が亡くなるニュースは本当に

 いたたまれない。

 

 僕自身は映画断ちしすぎたうえに

 個展前週より公開した”蜘蛛映画”を観に行くのを

 我慢してたのに、直前までつくってた

 テーブルランプの真鍮パーツの名は

 ”スパイダー”だし、作業中ミスったら

 アタマん中でhideの「ピンクスパイダー」の

「シッパイダー!」が鳴り響くし

 搬入の夜、宿のお風呂の天井には

 見たこともない大きな華奢な

 オレンジ色の蜘蛛がいるし

 (刺されて特殊能力、な妄想するのはお約束) 

 当日の朝のお墓まいりではもちろん

 蜘蛛の巣をはらいました。

 極めつけは初日に来たお客さんの高校生の息子が

 今そこで別れてそのものズバリ

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』を

 観に行ってると言われ、そこでもうはち切れた。

 そんな中、京都から戻ってすぐ追加の制作、

 納品やらその他あれやこれやとやっていたおかげで

 なんとなく情報量の多い映画は身体に入れたくなくて

 いまだに”スパイディー”、観に行けてない始末。

 

 前置きが長くなったけど、

 週始めに久々の映画は1本観た。

『さらば愛しきアウトロー』。

 84歳になるロバート・レッドフォードの

 俳優引退作。

 80年代に実在した老銀行強盗(人は傷つけない)の話、

 という以外そんなに前知識なく行ったので、

 強盗仲間にいい歳になった

 トム・ウェイツは出てるわ

 ダニー・グローヴァ―は出てるわで

 こんな共演ありか、と

 ニヤニヤが止まらないし、

 レッドフォードとシシー・スペイセクとの

 会話のシーンだけでもう芳醇すぎてたまらんかった。

 おそらくフィルム撮影されてるだろう映像は

 疲れを残した身体にやさしくしみいる感じで

 ありがたかった。

 本作の監督はレッドフォードが主宰してきた

 インディペンデント映画のための

 サンダンス映画祭出身のデヴィッド・ロウリー。

 今作もレッドフォードを追う刑事役で出演の

 ケイシー・アフレック主演の

『セインツ−約束の果て−』はまさに

『明日に向かって撃て』的な秀作だったし、

 一転ディズニーで撮った

『ピートと秘密の友達』にはそういえば

 レッドフォードが出てたよな。

 次世代への継承のようなものも、

 過去の自分の演じてきた映画への

 オマージュもちゃんとなされていて

 なんて豊かな俳優引退作だろう、と思った。

 そして監督業はまだまだするんだろうな。

 

 件のアメコミ好き高校生くんにはぜひ

『大統領の陰謀』を観て欲しい。

『キャプテン・アメリカ/ウインター・ソルジャー』で

 なぜレッドフォードがキャスティングされてたか

 わかると思うから。

 でも『エンドゲーム』にもまさかのカメオ出演で

 今思えば贅沢だったなあ。(ネタバレ)

 

 ちなみに宮迫がこのまま引退だなんて

 もちろん思わないけれど、

 ホークアイの吹き替えはもう

 やつじゃなきゃ納得がいかない。

 内閣総理大臣の陰謀を

 ふたたびローニンとなってこらしめに来る、

 というのもありだな。

 

 

 

 

 

 

 

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